Da Doo Ron 論

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今じわじわと心に残る『何者』

もう随分前に読んだ本でその時はふ~ん、という感じでレビューを書こうとも思っていなかった。

なのに、なぜか最近になって、良い本だったなと思い出し、特に多くの若者に読んでほしいと思うようになり、レビューを書こうと思い立った。

 


前半は退屈だったが、後半で瑞月さんの独白は圧巻で心に残った。はるか昔に大学を卒業して、そのころどういう気持ちで就活したのか忘れていたが、あの頃の自分はまだまだ大人ではなかったんだなと改めて思った。当時の私にはあんな覚悟はできていなかった。

 


わたしたちはもう、たったひとり。

自分だけで、自分の人生を見つめなきゃいけない。

一緒に線路の先を見てくれる人はもう、いなくなったんだよ。

進路を考えてくれる学校の先生だっていないし、私たちを産んでくれたときの両親に近い年齢になってる。もう育ててもらうなんて考え方ではいられない。

何者の主人公は一人だけ。その主人公の一人称視点で最後まで話が進む。

主人公は大学生で人間観察が得意。他人の機微によく気がつく男の子で、何者はその主人公を含め5人の就活模様がえがかれている。

そう、大人になるってそういうことなんだよね。

子どもの頃はいつも早く大人になりたい、大人に指示されたり、叱られたりしないで、好きなようにしたい、好きなように時間を使いたいと思っていたけど、実は子どもでいる方がずっと楽なんだよね。だから大人になり切れない人たちが引きこもりになったりするのだろう。

現に自分は少し下ではあるもの読んだ時にはすさまじくリアルだと感じ、どこの地域でも同じようなことが起きているのだとこの本で知った。 10年代の初めに書かれているので、その当時のTwitterや就活生の雰囲気はかなり正確に掴んでいるはずだ。

普通の大人として自立して生きていくって実はかなり大変なこと、そのスタートが就活であり、たとえスムーズに就職先が決まったからといって、その後もずっとスムーズにいく人生などありえないのだから。

 


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